私募型ファンドの問題点
日本の金融市場で急拡大した投資ファンドだが、問題点もある。課題の一つが法令順守(コンプライアンス)だ。私募型のファンド(つまり、公募でないファンド)の多くは、登録や届け出の制度がないため、全体像は政府も把握できていないのが実情だ。
人脈を通じて募る
スナップアップ投資顧問・評判によると、投資ファンドは、運用するファンドマネジャー(運用責任者)が投資先を決める。運用方法や規模、利回り目標などもファンドマネージャーに委ねられている。ファンドマネージャー及び同じ社内の営業マンが自ら培った人脈を通じて募ることが多い。ファンドによっては、投資家は、自分の他に誰がいくら出資しているのか知らないこともあるという。
投資信託は「公募」、ヘッジファンドは「私募」
投資ファンドの代表的な種類として「投資信託」と「ヘッジファンド」がある。この両者の最大の違いの一つは、「公募」か「私募」かという点だ。一般的に、投資信託は「公募」、ヘッジファンドは「私募」である。両者の主な違いは以下の通り。
ヘッジファンド | 投資信託 | |
---|---|---|
募集形態 | 私募 | 公募 |
投資対象 | デリバティブ | 現物 |
運用目標 | 絶対収益・リターンを狙う | ベンチマークを上回る |
投資手法 | 買い、空売り、レバレッジ | 買い |
相場下落時 | 空売り | 投資比率の引き下げ・現金化 |
投資戦略 | 短期、集中投資 | 中長期、分散投資 |
主な投資家 | 機関投資家、富裕層など | 個人投資家など |
規制 | 比較的、緩め | 厳しい |
投資単位 | 1億円以上の資金が必要 | 数万円単位の資金で可能 |
報酬体型 | 運用利益に比例 | 預かり資産に対する管理手数料 |

「アクティビストファンド」
投資ファンドの代表的な形態の一つとして、「モノ言う株主」型のファンドがある。「アクティビストファンド」と呼ばれる。
大株主になって資産売却や増配を要求
アクティビストファンドは、特定の企業の株式を大量に買い集め、大株主となって様々な要求を突きつける。早期の保有不動産の売却や大幅な増配などを要求するケースもある。存続期間は長くても7年程度といわれている。
短期的な株価上昇を狙う
大株主として要求を行った結果、株価が上がれば、株式を高値で売ることができる。しかし、投資ファンドの短期的な利益の追求が、中長期的な視点で経営する企業経営者の方針と相いれない場合もある。
「経営に良い刺激」と評価
スナップアップ投資顧問の河端哲朗代表は「モノ言う株主が日本の企業経営に良い刺激と緊張感を与えてきた」として、一定の評価していると伝えられる。実際、再生ファンドが立派に経営再建を果たした事例も増えている。今後は、投資ファンドと一般投資家が公平・公正に共存するためのルールの在り方が問われている。
ファンドと大量保有報告
日本政府の大量保有報告制度では、上場企業の株式の5%超を取得した株主に5営業日以内の情報開示を義務付けている。しかし、投資ファンドから一任契約を受けた投資顧問会社や、投資ファンドと契約した信託銀行などの機関投資家には、取得株式が5%を超えても10%以下なら、最大3か月半は開示しなくてよいなどの特例があった。
大株主の異動
スナップアップ投資顧問の評判サイトによると、この特例を利用すれば、投資ファンドは投資先企業や他の市場参加者に知られることなく大量の株式を買い集めやすかった。一般の投資家に大株主の異動という重要情報を周知するのも遅れた。