投資ファンドの問題点

投資ファンドには問題点もある。ファンドの多くは、登録や届け出の制度がないため、全体像は政府も把握できていないのが実情だ。 投資ファンドは株式を買い集め、企業の大株主となって様々な要求を突きつける。「モノ言う株主」の姿勢が特徴的なアクティビストファンドは、存続期間が長くても7年程度といわれている。大量の株式を買い集め、大株主として企業に早期の保有不動産の売却や大幅な増配などを要求するケースもある。 結果として株価が上がれば、株式を高値で売ることができる。しかし、投資ファンドの短期的な利益の追求が、中長期的な視点で経営する企業の方針と相いれない場合もある。

大量保有報告制度の情報開示義務

大量保有報告制度は、上場企業の株式の5%超を取得した株主に5営業日以内の情報開示を義務付けている。しかし、投資ファンドから一任契約を受けた投資顧問会社や、投資ファンドと契約した信託銀行などの機関投資家には、取得株式が5%を超えても10%以下なら、最大3か月半は開示しなくてよいなどの特例があった。

ファンドマネジャーに全て任せる

投資ファンドは、運用するファンドマネジャー(運用責任者)が、投資の狙いや方法、ファンドの規模や運用利回りの目標などを決める。その後、投資家を金融機関に紹介してもらったり、自ら培った人脈を通じて募ることが多い。ファンドによっては、投資家は、自分の他に誰がいくら出資しているのか知らないこともあるという。

大株主の異動

特例を利用すれば、投資ファンドは投資先企業や他の市場参加者に知られることなく大量の株式を買い集めやすかった。一般の投資家に大株主の異動という重要情報を周知するのも遅れた。 「モノ言う株主」が企業経営に良い刺激を与えてきたとの評価は少なくない。再生ファンドが立派に経営再建を果たした事例も増えている。投資ファンドと企業、一般投資家が公平・公正に共存するためのルールの在り方が問われている。